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グラフィカ編集室、編集・刊行の単行本写真集、画集
憧景
eternal chase

西村多美子
NIshimura Tamiko


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本書は西村多美子の血の轍ともいうべき若き日の旅の記録である。
写真の日付は1970年から83年ごろというから、作者が20代から30代だったときにうつしたものである。
撮影地は北海道・東北が大半をしめているが、関東・北陸・関西と広範囲にもおよんでいて、なかには地元の東京でうつしたものもふくまれている。(中略)
「旅にまなぶ」(「宮本常一著作集31」所載)にはつぎのような趣旨の文章がつづられている。
 <旅をするのはなにかを発見するためである。それには歩いてものを見てみるしか方法はない。ものを見ていくと、わからないことが増えてくるが、わからないことを確かめて、明らかにするところに、旅の目的がある。>
 宮本常一を引き合いにだしたのは、わからないことを確かめて、明らかにするという宮本の旅の思想と作者の写真の面構えにどこか通いあうものを感じるからである。もとより作者の写真紀行は「ディスカバー・ジャパン」の観光旅行でもなければ、民俗採訪の学術調査ともちがっている。どちらかといえば前代までの物見遊山や霊地巡礼といった庶民信仰の旅によほどちかく、そういってよければ芭蕉*の俳諧紀行をほうふつさせるものである。
(『生をうつす旅という回路』平嶋彰彦/本書所収解説より)
70年代前半、あの頃はどこへ行っても、その土地の持つ独特な個性が感じられて新鮮だった。
若さのせいもあるだろうが、新幹線は東海道だけだったし、地方は都市に塗れることなく、確たる存在感を持っていたと思う。……見るものと見られるものが一体となったその先にあるものを捕らえたいと思っていた。撮った先からこぼれてしまうものを形にしたいと思った。(著者あとがきより)

高度経済成長期、その後に続くバブル期へと、日本の風土や社会と共に人の心性も変化してゆく時代のなかで、東京生まれの西村多美子は、その大きな流れが視野の外においた、ある時ある場所にある個の絶対性、人と土地と時との絆を、身体全ての感覚をもってとらえようと、見知らぬ土地を巡りました。
A4変型判(270×220 mm) 布張上製
ダブルトーン 142頁 写真89点収録 
解説 平嶋彰彦(写真家・編集者)
翻訳 アルフレッド・バーンバウム、マーク・ロビンソン

定価4500円+税
特装版
Underdog Glide

アイカワタケシ
Aikawa Takeshi


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serial number 01
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serial number 02


serial number 03


serial number 04
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全てアイカワタケシによる
ドローイングとコラージュが施された
ケース入り
限定50部。自筆署名、ナンバー入り

A4変型判 ハードカバー
4色刷(一部特色1色及び2色刷)120頁 作品115点収録
巻末インタビュー収録(英訳付)

定価15000円+税
Underdog Glide
アイカワタケシ
Aikawa Takeshi


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この露骨な醗酵楽園を凝視せよ。/五木田智央・画家
その昔クロスロードでブロンと名乗る悪魔に万引きした品を授業料に渡し、
アイカワタケシは絵の描き方を教授された。 
数年後、再びクロスロードで今度は絶縁状を叩き付けた。/根本敬・特殊漫画家
日本で一番ブロンを飲んでると宣言するイラストレーター、アイカワタケシの強度のブロン中毒期の覚醒と酩酊の狭間から湧き出したようなドローイングとブロン中毒を脱した後の、半立体にまで積み重ねられたコラージュ・ペインティングを収録した作品集。デンジャー・ゾーンは苦く甘く歪んでいる。

ブロンやってる時は、価値観が逸脱する方向にいきたがっていた。あと、中毒しているっていう状態自体に価値があると思っていた。壊れていくことに。(略)もともと僕は不安神経症的というか、有り体に言えば気が小さいというか、心が弱い人間だから、ブロンやることによって全てが取っ払えて、部屋とか鍵もかけないし、土足だし、タバコ吸っては床でもトイレでもどこでも投げ捨てて風呂の中でも酒飲んでるし、だからフローリングの床から洗面所、トイレの便器までそこら中焦げてて、人間としていちばん箍の外れた状態で生きてましたね。(略)
線一本引いて、その線が気に入らなくて修正液で消して、また引いて、消して、それを繰り返して、何日も平気で過ぎていったし。(略)描けないと薬の量が足りないからだと理屈をつけて、さらにどんどん飲むんですよね。調子が上がんないと量を増やすんですよ、それは、毎回ずっとそう。(略)
僕なんかまず人格としてスタート時点で破綻してる。生まれた時点で人間的にマイナスのものを負っているという気がする。僕がやってることっていうのは、表現のためとか作品完成させようということではなくて、人間としてまともに終わりたい、人間としてまともに完成させるために絵描いたり、ボクシングやったりしている感じがすごいありますね。
(巻末インタビューから)
A4変型判 ハードカバー
4色刷(一部特色1色及び2色刷)120頁 作品115点収録
巻末インタビュー収録(英訳付)

限定500部。自筆署名、ナンバー入り

定価4500円+税
実存 1968-69状況劇場
Existence

西村多美子
NIshimura Tamiko


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鏡の中の放浪地図は、今も汚れてうさん臭い。
でも虚像はそこから引っ張りだしてくるのです。 
2011年1月6日 唐十郎

『実存』 西村多美子

学生時代('67-69年)にアングラ劇団「状況劇場」の写真を撮っていた。液温35度くらいの高温現像で真っ黒なネガを作り、1時間近くの露光時間でプリントをする、実験的というより、無茶苦茶な暗室作業をして、舞台写真を越えた映像表現を求めていた。卒業制作展以来、ネガはたな晒しになっていたが、一昨年300枚近くをプリントしてみた。タイムスリップしたように、新宿ピットインでの夜中12時30分開演だった「続・ジョン・シルバー」や、トラックの荷台を舞台にしたトラック劇場での「腰巻お仙」などがよみがえってきた。芝居がはねた後、唐十郎が「死人箱にゃ74人、それからラムが一ビンと よいこらさあ よいこらさあ」とギター片手に朗々と歌う。客はトリスウイスキーを舐めながら始発電車を待つ。暗い海に漂いだす船のイメージを自分に重ねていたのを思い出した。(著者あとがきより)

68、69年、『由比正雪』、『腰巻きお仙振袖火事』の時代は、世界中の若者の文化の一つとして、
アンダーグラウンドの時代が到来していたんです。
あらゆる物の価値観、たとえば、美術、演劇、政治的な事においても変革の時が来ていたと思います。
その時代にちょうど青春とぶつかり合い、ある種の中心、台風の眼の位置にあった当時の状況劇場と、
僕は運命的な出会いをしたんです。 四谷シモン(人形作家)
B5変型判 並製表紙特色2色PP加工観音開き
一色刷、104頁 写真80点収録


定価1900円+税
基隆
keelung

山内道雄
Yamauchi Michio


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『基隆』 Keelung
 基隆には2007年と2009年の二回の渡航で4カ月ほど滞在した。
 基隆は台湾北部に位置し、国際船が出入りする港があるややさびれた地方都市だ。昔、日本軍が石炭の積み出しの拠点としたところで、小さな山々に囲まれて起伏が多い。 山の上から眺める港の風景は清々しい。雨がよく降るので「雨港」とも呼ばれている。日本の支配を受けたこともあり年配の人たちの多くは日本語を話す。 英語でKEELUNGと書いて「キールン」と呼ばれているが、地元の人たちは自分の町を「チーロン」という。(著者あとがきより抜粋)

Keelung is a somewhat shabby port city in Taiwan's north. International ships come and go from the harbor, which was once an export point for coal for the Japanese military. The streets and lanes of the city undulate like the small mountains that surround it, and the area's high precipitation has given it the nickname "Rainy Port."

A4変型判 並製表紙特色2色PP加工観音開き
一色刷、一部四色 120頁 写真85点収録


定価3600円+税
街の火
Luminance of Streets

星玄人
Hoshi Haruto


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『街の火』 Luminance of Streets
夜の街を徘徊するのが好きだったのはカメラを手に持つようになるよりもずっと前からでたぶん小学校高学年位からだったと思います。その当時私は勉強には打ち込むことができずテレビもあまり好きではなかったので、放課後有り余った時間の大半をマンガを読んだりラジオや歌を聞いたりして過したのですが、結局そういう事にそれほど夢中になることも出来ず教室の片隅や自室でひとり、架空の日常を夢想することにいつも明け暮れていました。頭に思い浮かべるのは身近な友人や異性を登場させ、自分に都合良く作られたおよそ実現性には乏しい幼稚な戯言がほとんどで、とりわけ得意なことなど無いくせに周囲にあわせるのが嫌いだった私は情欲と自己愛だけで構成された虚構の世界を構築することで自身を取り巻く現実から逃避したかったのだと思います。今振り返るとその無意味な想像性を創作などに転化させれば良かったのですが、自意識過剰な性格が現実から得る雑多な情報に対して身構えさせていたせいか、思春期の過剰な自我の目覚めを自己認識する事も無く、猥褻な衝動に身を任せる以外は何一つ思い通りにいかない他人と自分との関係に対する不満と、誰からも必要とされないだろうという不安感がいつも私の思考を支配していました。思い返すと単に成長期で欲求不満だっただけなのですが当時の私には深刻な問題で、豊かな現実世界は私にとって屈折や劣等感を呼び寄せる為にしか存在していなかったように思います。そんな私が実生活で唯一開放された気分になれたのは日が暮れてからの街並を用も無く歩きまわっている時でした。普段見慣れた忙しい景色に冷たい開放感が混ざりだしたような夜の空気は昼間よりも透明な輪郭で街を映し出し、自身の妄想世界よりも強く私の幼い欲望と好奇心を掻き立てていました.........(著者あとがきより抜粋)
A4判 並製 表紙特色2色PP加工観音開き
本文特色1色 154頁 写真164点



定価3500円+税
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